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情熱に満ちた子供達

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俺はボギー?

俺はボギー?

 1982年、七曲署捜査一係に嵐がやってきた。春日部一(かすかべ はじめ)刑事の配属だ(演:世良公則)。ハンフリーボガートに憧れているという理由でボギー刑事と名付けられた。ちょっとバカでひたすら突っ込んでいく猪突猛進型の新人刑事だ。そして感情的で涙もろいやつだ。そんなボギーは自分のことかもしれない。
 太陽にほえろ第522話「ドックとボギー」の回では、倫理観を捨てた行動や発言しかできないゴミ医大生

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瞬間

瞬間

『6歳のボクが大人になるまで』を観たのは、映画が公開されてから10年後のことだった。それまでリチャード・リンクレイターの作品が好きだった私にとって、この映画を観ることは、もう少し先延ばしにしておきたい、大切な楽しみのようなものだった。でも、ある日、なんとなく「今だ」と感じて、再生ボタンを押した。
 この映画は、主人公のメイソンが6歳から大学に入学する18歳までの12年間を描いている。しかも驚くべき

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大人になんてなってやらない 

大人になんてなってやらない 

 僕たちの高校の国語科の教員のt先生(男性)は中学生の頃、「自分は何者なのか」ということにずっと悩んでいたという。
 
 それには2つの意味があり、1つはそもそも自分とはどういう存在なのかということ。かなり哲学的な話になるが、例えばりんごを見ているのが自分なんだということを考える自分がいて、さらにそう考える自分がいて…という風に無限に続いて結局今自分が見ている世界とはなんだろうと悩んでいたそうだ。

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映画人生の伏線 

映画人生の伏線 

 僕たちの高校の英語科教員のs先生(男性)は、中学生の頃、数学の勉強が難かしく、分からなくなってきていることで悩んでいた。さらに体の成長とともに漠然と不安な気持ちも増えてきた。
 中学時代のある時、s先生は映画教室で『刑事ジョン・ブック 目撃者』という映画を観た。アクション映画としても面白いが文明を拒否したアーミッシュの人々の暮らしが描かれており、それがとても興味深かったという。おそらくこれがs先

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駆け抜けていく大人

駆け抜けていく大人

今回がお世話になってるyさんに思春期時代についてインタビューを行った。
 yさん(女性)は中学時代、私立の中高一貫校に通っていた。学校では、なんと学級崩壊が起きていたという。yさんは騒動を起こしていた子どもは一見いい子で頭のいい生徒だったそうなのだが、なんと先生をどんぐりを投げていじめているという超絶闇深エピソードを語ってくれた。
 yさんもいじめに加担するつもりはなかったそうなのだがその時は面白

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僕が情熱を失った日 第3部 幼少期からの思い出が消えた日

僕が情熱を失った日 第3部 幼少期からの思い出が消えた日

第3部 「幼少期からの思い出が消えた日」

続いては城戸の死後わずか数日後に起きた出来事である。
この出来事はその後から今に至るまでの俺の人生を良くも悪くも大きく変え、情熱を捨ててた期間に起きた一番大きな出来事だろう。
2023年1月25日に東急電鉄からとある車両が姿を消した。それは田園都市線で活躍していた8500系だ。

オールステンレス製のその車両は、側面は綺麗に輝くシルバーのコルゲート車体で

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第2部 「信念を貫く男が死んだ日」

第2部 「信念を貫く男が死んだ日」

 続いて第2部はラガーでショックを受けてる時に起きた出来事である。自分はヒューマンバグ大学というYouTubeチャンネルの動画が大好きだ。そのチャンネルには数年前からヤクザ達の漫画に声を吹き込んだ動画が上がっている。ヤクザ以外にも殺し屋など色々なシリーズがある。その中でも人気があるのが天羽組シリーズである。主人公は小峠というアラサーのヤクザである。天羽組長をトップとして、狂人兄貴が沢山いる天羽組の

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ラガーマンがラグビーを捨てた日

ラガーマンがラグビーを捨てた日


俺が情熱を失った日
本来は思春期の子供達が心の拠り所にするサブカルチャーが自分に刃を向けてきた時の話をする。
自分は今までの人生の中でただ1回だけアツく燃え続けていた青春の灯火が4ヶ月ほど消えた事がある。その時のことをまとめて書くと長くなるのでここでは3部に分ける。

第1部 「ラガーマンがラグビーを捨てた日」
 高校1年の時、自分は昭和の刑事ドラマである「太陽にほえろ!」にハマっていた。父が同

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Oasisと名作映画が教えてくれた、背中を押す力! 

Oasisと名作映画が教えてくれた、背中を押す力! 


OasisOasisの楽曲に救われた人は多いだろう。「Don’t Look Back in Anger」「Wonderwall」「Stand by Me」「Live Forever」「Whatever」と、挙げればキリがないほどOasisに支えられた人もいるだろう。
Oasisは、メイン・ソングライターの兄ノエル・ギャラガーとボーカルの弟リアム・ギャラガーのギャラガー兄弟を中心に、1991年にマ

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旅に連れ出してくる音と漢の支え 

旅に連れ出してくる音と漢の支え 

始まり 私は年に十回、空の旅に出る。ほとんど日本航空の利用である。そして、飛行機に乗ると必ず流れる曲がある。それは「I will be there with you」という曲だ。搭乗からドアクローズするまでの間、機内でこの曲が流れます。カナダの音楽家、デイヴィッド・フォスターによって作曲されたこの曲は、大空へ飛び立つ飛行機を思い描きながら書き下ろされました。コロナ禍のような閉ざされた環境下でも、多

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届け17歳:映画『レディ・バード』からの新たな旅路の準備

届け17歳:映画『レディ・バード』からの新たな旅路の準備

この作品が伝えることと感じたこと漠然と進路や将来の不安を感じることがあるだろう。それは誰にでも。特に学生は進路という、子供から大人に変わる転換点に向き合わなくてはならない。正解のない道に進んでいく僕らに背中を押し、羽ばたかせてくれる映画『レディ・バード』

レディ・バードはA24の作品の中でも、リアルに思春期の気持ちを代弁してくれる。内容は主人公のクリスティン・“レディ・バード”・マクファーソン(

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 レディオヘッド:減圧症からニセモノの街まで、魂を揺さぶるサウンドの秘密

レディオヘッド:減圧症からニセモノの街まで、魂を揺さぶるサウンドの秘密



バンドの紹介
レディオヘッドは1991年に活動を始め、1992年にメジャーデビューを果たしたイギリスのロックバンドです。メンバーは主に5人で、パブリックスクールと呼ばれるイギリスの私立学校や王立学校で出会いました。ファーストアルバムで人気を得て、セカンド、サードアルバムで不動の人気を確立しました。フォースアルバムでは今までのサウンドを捨て、機械音のようなエレクトロニカ音楽に傾倒し、再度成功を収

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圧迫感とロック: 音楽が僕を救った日々

圧迫感とロック: 音楽が僕を救った日々



外にいると圧迫感を感じるようになった経緯と対策
外にいると圧迫感を感じるようになったのは中学生になってからだった。今でも窮屈に感じることが多く、人混みのある駅や街はあまり好きになれない。しかし、僕はそのような状況をイヤホンで音楽を聴くことで過ごしていた。そこで僕が好きで聴くようになったのが「銀杏BOYZ」と「クリープハイプ」、「SUPER BEAVER」の楽曲である。

銀杏BOYZについて

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静けさと不安の中で:二〇二〇年の春

静けさと不安の中で:二〇二〇年の春

静けさと不安の中で:二〇二〇年の春

二〇二〇年の春、世界は一変した。コロナウイルスの流行により、外出は規制され、学校は閉鎖され、僕たちはオンライン授業に切り替わった。当時中学二年生だった僕は、思春期の真っ只中で、自分の悩みや感情をうまく表現できずに悶々としていた。特に理由もないのにイライラし、その原因を探るのも億劫だった。

そんな僕を支えてくれたのが、ロック音楽と映画だった。幼少期から親の影響

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